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第4回「パワーハラスメント対策の義務化」

大企業に対する職場のパワーハラスメントの防止義務が2020年4月にもスタートする見込みとなりました。中小企業の義務化については猶予期間が設定されると思われますが、努力義務としてパワハラに対する事前の対策が求められます。

2017年度の労働局に寄せられた労働相談においてもパワハラを含む「いじめ・いやがらせ」は7万2千件と増加傾向であり、厚生労働省の平成24年の実態調査においても過去3年間に3人に一人がパワハラを受けたと回答しており、深刻な事態に対応することが必要です。

ハラスメントとは、「嫌がらせ」や「いじめ」行為を指しますが、パワハラは厚生労働省において「同じ職場に働く者に対して、職務上の地位や人間関係などを職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定義されており、具体的には以下の6形態がパワハラに該当すると言われています。①身体的な攻撃(暴行・傷害)、②精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)、③人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)、④過大な要求(業務上明らかに不要な事や遂行不可能な事の強制、仕事の妨害)、⑤過少な要求(業務上の合理性がなく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じる事や仕事を与えないこと)、⑥個の侵害(私的なことに過度に立ち入る事)

実際には、セクハラやマタハラについては既に防止義務がありますが、パワーハラスメントについても同様に、企業に相談窓口の設置やパワハラをした従業員の処分内容の就業規則への記載、相談者のプライバシーの保護などが事業主の講ずべき措置として義務付けられる見込みです。

しかし、義務としての措置を実施するだけでは根本的なハラスメントの防止には不十分であり、企業は積極的に自社の問題点や事故が起きやすい環境を改善していくことが重要です。具体的には、労働者間のコミュニケーションが希薄な環境や業績偏重の評価制度、長時間労働といった環境がハラスメントの起きる要因とも言われており、それらの環境改善と共に実際にハラスメントが発生した場合に備えた保険対応等も求められるでしょう。

特定非営利活動法人 日本リスクマネジャー&コンサルタント協会
副理事長 松本一成 著

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