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RMCAリスクマネジメント塾

第17回「部分最適から全体最適へ」

保険代理店が真に顧客本位の提案を行うためには、保険を売るという発想からお客様を守るという発想に切り替えていく必要があると思いますし、企業に関して言うならば企業は理念やビジョンの達成の為に活動しているため、保険を活用する事によってそれらの達成を如何に支援出来るかが顧客本位の大前提になると考えられます。しかしながら、従来の保険業界においては、プロダクトアウトの発想で商品ありきの営業が浸透していたことや、法人は理念やビジョンの達成を目的とし、財務諸表を守る事を目的としているにも関わらずそういった視点から提案をしてこなかったケースが多いと考えられます。

お客様を守るために認識すべきなのは、お客様を取り巻くリスクは沢山あり、保険でカバー出来るリスクばかりではないという事です。企業は理念やビジョンの達成の為に、経営資源を構築し、様々な環境変化の中で事業を行っている訳ですが、その事業環境には沢山のリスクが存在します。そのため、先ずはどのようなリスクがあるかを特定し、そのリスクを分析し、財務力との比較から対処すべきリスクを明確化し、優先順位を付けなければ効率的・効果的なリスク対策や保険設計は不可能です。そのリスクアセスメントのプロセスこそが保険代理店が提供できる独自の付加価値であり、そのプロセスが無ければ最適な保険ポートフォリオを設計する事は出来ないでしょう。

大切なのは保険でカバーできないリスクも考慮することです。企業にとって重要で致命的なリスクは保険でのカバーが難しいものが多いですが、経営者が最も意識を向けているリスクでもあります。そのようなリスクに経営者と一緒に向き合う事が信頼関係の構築に繋がりますし、保険代理店はそれらのリスクに対するファンド構築を生命保険等の保険商品を活用する事によって支援する事も可能です。企業を守る為には、先ずは企業のリスクの全体像から財務力と優先順位に基づいた全体最適の保険ポートフォリオを設計し、その上で保険での対処が必要なリスクについて最適な保険商品を選択するという手順が重要です。


特定非営利活動法人 日本リスクマネジャー&コンサルタント協会
副理事長 松本一成 著

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