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RMCAリスクマネジメント塾

第14回「緩行的変化への対応」

リスクの定義については以前に説明させて頂きましたが、リスクをもたらす根本的な要因は大きくわけると2つに集約されると言われています。一つは企業としてのあるべき姿や原点(理念・計画・コンプライアンス・品質等)からの乖離であり、もう一つは企業を取り巻く環境変化(顧客・競争・技術・法律等)への不適応です。つまりリスクマネジメントとは、絶えず変化する経営環境に柔軟に対応しながら、如何に企業としてのあるべき姿や存在意義を維持し続けるかということです。

さらに、経営環境の変化は突発的な変化(地震・台風・労災・PL事故等)と緩行的な変化(競争環境・技術環境・従業員のモチベーション等)に大きく分けられます。これらの変化が企業の事業環境に影響を与え、結果としてビジョン達成を阻害したり、あるべき姿からの乖離を生みだし、存在意義を毀損しますが、多くの企業は緩行的な変化への対応を誤って経営危機に陥ったり、倒産しており、突発的な変化によって危機的な状況になる企業はごく少数である事を認識する必要があります。つまり、今まで保険代理店が事業の対象としてきた突発的な変化によって倒産するケースは少数であり、保険でカバー出来ない緩行的リスクの重要性をしっかり認識する必要があります。

火災や地震等のような突発的な変化が発生すると誰もが危機意識を共有し、全力でその変化への対応を行いますが、緩行的な変化については直ぐに環境変化に対応しなくても直ちに大損害に繋がったり、会社が倒産することはないため、危機認識が共有できずに対応が遅くなり、結果として手遅れになるのです。事実として、保険業界は大きな環境変化の中にありますが、この環境変化と真剣に向き合い、積極的に変化している代理店ばかりではありません。緩行的変化は直ぐに対応を迫られるリスクではありませんが、環境適応には5年~10年という長い時間軸が必要になります。手遅れになる前に動き出すと共に、新たな環境にいち早く対応する事によって差別化を図り、リスクをチャンスに変える事が必要です。


特定非営利活動法人 日本リスクマネジャー&コンサルタント協会
副理事長 松本一成 著

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