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第11回「会社法の改正」

2019年12月4日(水)に会社法の一部を改正する法律案が参議院本会議で可決、成立しました。今回の改正は、大きく「株主総会に関する規律の見直し」、「取締役等に関する規律の見直し」、「社債の管理等に関する規律の見直し」に分けられますが、保険代理店が深く関係するのは、「取締役等に関する規律の見直し」と考えられます。具体的には、①取締役の報酬に関する規律の見直し、②会社補償に関する規律の整備及び役員等賠償責任保険契約に関する規律の整備、③業務執行の社外取締役への委任や社外取締役を置く事の義務付けの3つが大きな改正点となりますが、この改正によって、より厳しく取締役の責任が追及される一方で、会社補償やD&Oを活用して取締役を守る必要性が高まる事が想定されます。

①と③の改正は現状では主に上場企業が対象ですが、①の役員報酬については、カルロス・ゴーン氏の件もありましたが、今回の改正で株主総会において個人別の役員報酬が決定されない場合は、決定方針を定めてその概要を開示する事になり役員報酬の透明化が図られました。③の社外取締役については、かんぽ生命が取締役会の過半数が社外取締役であるにも関わらず不祥事が発生している実態からも、今後は形式的な設置ではなく、業務執行の一部を社外取締役に委託する事で実効性あるガバナンスが期待されます。一方で、②の会社補償及びD&Oについては、株主代表訴訟の多くが中小企業で起きている点からも幅広い企業に関連すると考えられます。

具体的には、今まではガバナンス態勢の必要性や取締役の責任が厳しく問われる背景があるにも関わらず、会社補償や会社役員賠償責任保険に加入する事については利益相反性はあり得るが、現行法上はそれらについて定めた規律はありませんでした。しかし、今回の法改正において、会社補償に必要な手続や会社補償の範囲等の規定、会社役員賠償責任保険(D&O保険)に加入するために必要な手続規定等を新たに設ける事になりました。ガバナンス態勢の構築においては、優秀な取締役の責任ある業務執行が必要不可欠ですが、今後はそれに伴う責任を会社補償やD&O保険によってカバーする事が前提になる事も考えられます。

特定非営利活動法人 日本リスクマネジャー&コンサルタント協会
副理事長 松本一成 著

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